【独占禁止法】不当な取引制限とは?第3条・第89条の構成要件と罰則を徹底解説

企業同士が裏で手を組み、価格を吊り上げたり受注者を決めたりする行為は、市場の自由な競争を妨げる「不当な取引制限」として厳しく規制されています。
本記事では、独占禁止法第3条の定義から、第89条に基づく重い刑事罰、そして企業が受ける巨額の課徴金リスクについて分かりやすく解説します。

1. 不当な取引制限(独占禁止法第3条)とは
独占禁止法第3条は、「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない」と定めています。
「不当な取引制限」とは、主に以下の2つを指します。
  • カルテル: 競合他社と話し合って、商品の価格や販売数量、販売地域などを決める行為。
  • 入札談合: 公共工事などの入札において、事前に受注者(落札者)や入札価格を決める行為。 
2. 成立するための「構成要件」
不当な取引制限が成立するには、以下の3つの要素が必要です。
① 共同して(意思の疎通) 
明示的な契約書がある必要はありません。「あうんの呼吸」や「暗黙の了解」であっても、互いに歩調を合わせるという「意思の疎通」があれば認められます。
② 相互に拘束・遂行
各事業者が単独で決めるのではなく、お互いの行動を縛り合い、共同して実行することを指します。
③ 公共の利益に反して、競争を実質的に制限する 
その行為によって、市場における自由な価格競争が機能しなくなる状態を指します。
3. 刑事罰と罰則(第89条)
独占禁止法第89条は、第3条に違反した者に対する刑事罰を定めています。
  • 個人(行為者): 5年以下の懲役 または 500万円以下の罰金。
  • 法人(両罰規定): 行為者だけでなく、会社に対しても 5億円以下の罰金 が科されます。
4. 巨額の「課徴金」と「リニエンシー制度」
刑事罰とは別に、公正取引委員会から「課徴金納付命令」という多額の金銭ペナルティが下されるのが、独禁法の特徴です。
  • 課徴金: 違反期間中の対象売上高に対して、一定の率を掛けた金額が徴収されます(過去には数百億円にのぼるケースもあります)。
  • リニエンシー(課徴金減免)制度:
    自ら進んで公正取引委員会に違反を報告し、資料を提供した企業には、課徴金の免除や減額が認められる制度です。これにより、内部からの「自首」を促す仕組みになっています。
5. まとめ
不当な取引制限(独禁法第3条・89条)は、企業の社会的信用を根底から揺るがし、経営に壊滅的な打撃を与えるリスクがあります。
特に、業界内での情報交換会や懇親会といった「接触」が疑いの発端となることが多いため、コンプライアンス指針の徹底が不可欠です。

最新情報をチェックしよう!
inserted by FC2 system