損害賠償を請求する際、避けて通れないのが「過失相殺」です。たとえ自分が被害者であっても、自分側に不注意があれば、その割合に応じて賠償金がカットされます。
1. 民法第722条第2項(過失相殺)の条文
被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
この条文の目的は、加害者と被害者の間で「公平な負担」を図ることにあります。
2. 実情:損害賠償は「過失割合」で決まる
実際のトラブル解決(特に交通事故や施設事故)では、まず「損害の総額」を出し、そこに「過失割合」を掛け合わせて最終的な支払額を決めます。
- 事例:損害総額が1,000万円で、過失割合が「加害者80:被害者20」の場合
→ 被害者が受け取れるのは 800万円(20%カット)になります。
3. 過失割合はどうやって決まるのか?
ここが最も揉めるポイントですが、実務上はゼロから決めるのではなく、「別冊判例タイムズ(過失相殺率の認定基準)」などの基準本に基づき、過去の膨大な裁判例をモデルケースに当てはめて決定されます。
- 交通事故:信号の色、速度超過、一時停止の有無などでほぼ定型的に決まります。
- 施設・転倒事故:足元の明るさ、警告看板の有無、被害者の不注意度などが考慮されます。
- ネットトラブル:被害者側の挑発行為などが過失として考慮されるケースもあります。
4. まとめ:納得のいく賠償金を得るための現実的な対策
過失相殺は、被害者にとって「損をする」仕組みに見えますが、実情を踏まえた対策を知ることで、不当な減額を防ぐことができます。
- 「基本割合」からの修正要素を探す
「相手の著しい過失(スマホ操作、酒気帯びなど)」や「自分が弱者(子供、高齢者など)」である場合、割合を自分に有利に修正できる可能性があります。 - 安易に相手(保険会社)の提示を飲まない
提示された過失割合は、あくまで「相手側の主張」に過ぎません。類似の裁判例を調べれば、もっと有利な割合になるケースは多々あります。 - 過失割合を覆すには「客観的証拠」が必須
「自分は悪くない」という主観的な主張は通りません。ドライブレコーダー、防犯カメラ、目撃者の証言など、「客観的な事実」だけが割合を動かす力になります。